”破壊が無ければ再生は無い 生命の循環の永遠の形 真実の種から産まれた木”

MorningParkには大きな樹が生えていて、世界中の色とりどりの美しい花が咲き、あらゆる果物の実がなります。

このMorningParkの樹は、表現をするための掲示板です。どんな言葉でも、詩や小説、散文、イラストや音楽でもかまいません。あなたの思いを、届けてみませんか。
それはこの木を育む栄養になって、実をつけ、花を咲かせ、ここを訪れた旅人を癒します。

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花と傀儡 裟血子 02/5/29(水) 20:12

花と傀儡
 裟血子 E-MAIL  - 02/5/29(水) 20:12 -
忘れられない花の名を
こころの中で 呼んでみる

忘れなくちゃならないものなんて
あるはずが ない

瞳を閉じなくても
浮かんでくる 一輪の花

あれは 妄想だったのか
偽りだったのか
同情だったのか
あたしは 結局
握り返すことすら出来ない
人形だったのか

人形だって こころはあるの
花を見て 感じることもあるの
黙っているけれど
本当は しゃべりたかったの
操れているけれど
本当は 抱きしめたかったの

一人の男が
花を 一輪の花を摘んだ 
一目した後
見るも無惨に握り潰し
殺した

そのまま男は
目の前に佇んでいる人形の左手に
残骸となった 花を持たせた
人形は 顔色変えられるわけがない
気持ちを 伝えられるわけがない
操られるまま
残骸を 口の中へと詰め込まれる
こころの中で ただ涙を流す
それでも 人形は
何事もなかったかの ように
微笑みながら 佇んでいた
ただ 佇んでいた

あれから 幾日も経ったけれど
あたしといえば まだ人形のままで
男も あの時の男のまま
唯一変わったことといえば
今も あたしの喉元には
あのときの花弁が 貼りついていて

「苦しい」
  ということ

この花弁が ある限り
忘れ去ることなんて
出来るものか

花の名を 呼んでみる
声を出して 呼んでみる
花弁は ブルルっと震え
返事を した

あたしは 人形
男の前では 何にもできやしない
操られるまま 微笑んでいるだけ
だけど 一人の時間には
声を出しては 
花と 戯れ
涙を流しては
花を 弔う

男に気づかれないよう
そっと
そっとだけ
人間に 還る

引用なし

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